ユニバーサルデザインとWeb屋


ユニバーサルデザイン」とは「すべてのヒトのためのデザイン」を意味しており、
Web以外の世界では主に年齢差・身体能力差等を吸収し、万人に使い易くする設計を指しますが、
Webの世界においては視覚・色覚障害などの能力差を吸収する事に加えて、
環境格差を吸収する事も目的に含めている場合が多いです。
即ち、「OSが違う」「ブラウザが違う」「JavaScript無効」「画像を表示しない」
等々の環境の差異がユーザレベルで障害にならないための設計が、
Webにおけるユニバーサルデザインと言う事です。


大きな企業さんとの仕事では「JIS規格(JIS X 8341-3)対応」が前提になってきましたし、
然るべきルールに拠って作成すれば、シェアの少ない想定外のブラウザであっても、
更にはテキストブラウザや音声読み上げでも大きな問題は無いはず、と言う、
ユーザビリティアクセシビリティの新常識が浸透してきましたので、
今時、環境差異を殊更問題にするのは、「わかってない自称Webデザイナー」かも。
ドッグイヤーなこの業界においては「何年前の話だ」と言う感じですね。


Webにおけるユニバーサルデザインが現場で受け入れられる様になって来たのは、
XHTML+CSS」が世間に受け入れられはじめた事の影響が大きいと思います。
そして、そのきっかけは「Blogブーム」に代表される各種CMSの普及。
従来の「HTML4.01」に比べてルーズさが許されない「XHTML1.x+CSS」は、
世間には到底受け入れられないと言う悲観的な見方がかつてありましたが、
皆がツール(各種CMS)を使い、意識する事無くstrictな「XHTML1.x+CSS」を吐き、
あれほど悲観視されていた「XHTML1.x+CSS」がWebの世界でシェアを取りつつあります。
この「ツールによるルーズHTMLの駆逐」の流れは、まさに「技術による解決」です。
(各種CMSの開発者に心から感謝と敬意を捧げます、って丸々余談だ。)


今、相手がWebについての知識がある顧客であれば、当然の如く、
ユニバーサルデザイン、JIS規格、ユーザビリティアクセシビリティ等の単語が出て、
案件の大前提として「これはもちろん出来るよね?」と言う話になります。
(これらはSEOの文脈で言及される事もあります。)
システム屋さん等からは畑違いで見え難いかもしれませんが、
Web屋さんにとってのユニバーサルデザインと言う言葉は、
現状では上記のような意味であり、また「新スタンダード」です。
これを理解していないと、悪く言えば「イタイ自称デザイナ」ですし、
和らげて言っても「Webとか分かってない小口の客を専門にしている」とか、
「3年ぐらい現場から遠ざかっていた」と言う言葉が頭に付くデザイナでしょう。


以上が「Web環境としての言及」。
で、もう1つの「作業環境としての言及」としては、
いや、それはやってりゃ慣れるだろう、と身も蓋も無い事を思いました。
デザイン畑ではMac人気が根強く、ファイルのやり取りで困るのは事実だけど、
あまり軽率な発言をすると入社3ヶ月のペーペーと思われるかも...。
困っているなら素直に相手のMac使いと相談すべきですよね。
実際問題としてMac使いだけで御仕事は回さないんだし、
Macにも他環境とファイルをやり取りするためのツールがあるので、
Mac使いの側にもそれらを使う労を負わせ、Winに対して歩み寄って貰いましょう。
相手の(Mac使いの)デザイナーがその手のツールに疎いとしても、
仕事なんですから甘やかすのは良くないと思います。